飯田下伊那診療情報連携システム[ism-Link]とは?
ごあいさつ
南信州広域連合長 佐藤 健
我が国は、超高齢化社会の進行とともに、「少子化」さらには「急激な人口減」等、これまでに経験したことの無い状況に直面しています。私たちの飯田下伊那に目を移して見ますと、この圏域は長野県内で一番広大な面積を有しており、人口は全国各地と同様に年々減少し、高齢化率は30%を超えています。こうした地域情勢の中、医療機関や介護施設などの資源は充足しているとは言えず、なおかつ偏在しています。
飯田下伊那診療情報連携システム(イズムリンク)は、患者さんの同意のもと、複数の医療機関や介護関係事業者等の間で、診療や介護に必要な薬や検査の情報などを電子的に共有し、安全で安心な医療や介護の提供を目指すものであり、医療・介護資源の有効活用のために不可欠なツールとなっています。
今後、さらなる高齢化の進展が予想される中、医療や介護が必要な状態になっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを最後まで続けていけるように、引き続き「地域包括ケアシステム」の構築に取り組んでまいります。イズムリンクが、有用な医療情報連携ネットワークシステムとして、多くのみなさんのお役に立てることを願っております。
在宅医療等における利活用
すきがら医院(飯田市)院長 建石 徹 先生
「ism-link無しでは当院の診療は成り立たない!」と言っても、過言ではありません。活用を始めて11年目となり、登録患者数は900名に迫っています。
- 在宅医療においては、関わって下さるケアマネージャー・ソーシャルワーカー・訪問看護師・訪問薬剤師・訪問リハビリテーション等の皆様と、『堅固かつフットワークの軽い在宅支援チーム』を、ism-Linkを通じて作ることが出来ています(『後方支援病院チーム』の皆様と緊密に連携する上での多大な貢献は、言うまでもありません)。
患者さん・ご家族に、『多職種間での瞬時の情報共有』の実際の場面をタブレットでお見せしたところ、大変驚かれるとともに安心されて在宅療養の導入に至ったという事例もありました。各職種の能力をフル活用することで、当院はその司令塔として、余力を残しながら訪問診療に従事することが可能となっています(=『頻繁な訪問診療』の必要性が減る)。 - 病院へ紹介した患者さんについては、検査結果等を閲覧することで、当院に戻られる際の準備を進めることが出来ており、大変助かっています。
ism-Linkは、既に『地域に欠かせない情報インフラ』として認められています。今後も、医療・介護の現場で極めて有効に活用されている医療ICTの全国的な模範として、発展していくことを確信しています。
後藤医院(下伊那郡高森町)院長 後藤 暁 先生
当院は、主に飯伊医療圏北部地域の在宅医療の一端を担っていますが、ism-Linkの「ノート機能」で、訪問看護師やケアマネージャー、連携する病院のスタッフ(医師、看護師、ソーシャルワーカーなど)と医療・介護情報の共有を行っています。
在宅医療においては、24時間365日の対応が必要とされますが、一診療所だけでは継続困難であり、ism-Linkの活用により、多施設・多職種によるチームで在宅医療に取り組むことができています。多施設・多職種が連携するための最善の方法は、直接会って意見を交換し合うことですが、広大な面積に限られた医療資源しかない当圏域においては、関係者が一同に会するカンファレンスを頻回に開催することは、時間的・空間的に困難であり、ism-Linkにはその課題を解決できる可能性があります。多施設・多職種が効率よく連携するための手段として、今後益々ism-Linkの活躍の場が増えていくものと考えます。